「特別な術具だとすると、『砂の亡霊』って蛇だけじゃない可能性もあったりする?」
『その可能性はあるだろうな。とはいえ、術具を隠した妖獣師が、自分で魔術を仕掛けていて、それが蛇の姿を模っているとしたら、その可能性は消えるけどな』

 今の獣師と同じように、鳥や犬など、自分が扱う妖獣の種類を限定していた妖獣師もいたのだという。
 
『そもそも遺跡ってのは、もともと特別な場所であるほど、侵入者を許さないための対策が取られている。閉じ込めるくらいならまだしも、大抵は制裁のごとくシャレにならない仕掛けがされてる場合が多いからな、両方の意味で注意しておいた方がいい』

 そこで、ノエルが重くなりかけた場の空気を変えるように、おかしそうに牙を覗かせて笑った。

『その術具が、俺の予想している物だとすると、ルーファスが言っていた『財宝としての価値はない』って推測はひっくり返るぜ』
「え、なんで?」

 本当は歴史的な価値があるものなのだろうか、と思ってラビは首を捻った。