『悪鬼は、【月の石】で氷狼の身体を支配して動かしている。まずは町にあるかもしれもぇ残りの【月の石】の場所と数を確認しようとしているんだろう。【月の石】は、普通の人間にはただの石にしか見えねぇから、間違って掘り起こしちまった可能性はあるが。どちらにせよ、奴らが氷狼を操って一斉に踏みこんでくるのも時間の問題だ』
「町にある【月の石】を、先に処分する事はできる?」

 悪鬼が利用している【月の石】を先に片付ける方が、リスクも少なく手っ取り早いような気がした。その後にでも、氷狼が操られている問題について考えればいい。

 ノエルも同じ事に気付いたようで、『なるほどな』と一つ頷いて、尻尾を持ち上げて二度振った。

『封印されている【月の石】は少ぇし、俺だけでも無力化ぐらいなら可能か……。悪鬼にしても、手元にある【月の石】の量が少なければ派手には動けねぇだろう。よし、そうとなったら、まずは【月の石】を優先に考えるか』

 話がまとまったところで、ラビ達は町の方へ戻るように歩き出した。