食堂でラビが調査してくると告げた矢先、若い部下達が、急な仕事の要件が出来たとセドリックを呼びに来た。

 セドリックは、まだ場所に不慣れだろうからという理由で、ユリシスに、ラビの案内役として付くよう指示した。ノエルと出歩こうと考えていたラビは、案内役がユリシスである事も気に食わず、「勝手にやるから今はいらんッ」と断ったのだが、セドリックに「頼みますから、ね?」と心配症を起こされてしまい、渋々了承するしかなかった。

「『いらん』とは、随分な言いようですね」
「お前だってそう思ってるだろ」
「ええ、実に腹立たしい限りです」
『お前ら、よく目も合わさず喧嘩出来るな』

 セドリックを見送りながら静かに殺気立つ二人を見て、ノエルが呆れたようにそう言った。

『まぁいいじゃねぇか。ひとまずは、例の氷山を見てみようぜ』
「……」
『こいつがいれば、上にも行けるんだろ?』

 ノエルと目を合わせたラビは、それもそうかと考え直して、ひとまず、ユリシスに屋上まで案内して欲しいと頼んだ。