「末っ子? つまりそれって、セドリックより下って事じゃん! ヤだ!」
「『ヤだ』って、そんなこと言わないで下さいよ。だって、ラビが最年少じゃないですか……」

 困り果てるセドリックを見て、ノエルが『お前がしゃきっとしてねぇからだろ』とニヤニヤした。ラビは心の中で、そういうところは確かに末っ子っぽいよな、と思った。

 ラビは、昔はそんなに身長差もなかったセドリックを思い返した。歳は三つ離れているが、出会った時は木登りも下手だったし、弟分というイメージが強かった。

「兄さんは家族想いですからね。いずれ本邸に母上も来て頂きたいと考えて、仕事の合間を縫って色々とアプローチをしているようですが、……無理やりつれて来るわけにもいきませんし」

 セドリックが「ふぅ」と悩ましげな息を吐いた。

 伯爵夫人だって、本当はその気持ちがあるとラビは知っていた。せっかくの家族が擦れ違うのを見るのは嫌だと感じて、つい幼馴染に少しだけ教えたくなった。