「……そういえばさ、伯爵がルーファスのこと、陛下にも気に入られる美しさだとか自慢してたぜ。大丈夫か、お前の親父」
「えッ、いつ話したんですか?」
「うーん、三ヵ月前あたりかな」

 ラビは、記憶を辿りながら答えた。

 ヒューガノーズ伯爵は、甘党とは思えないほどに若作りでハンサムな男なのだが、自分好みの顔をしている長男を溺愛している変わり者でもあった。ラビの金髪についても「眺めていて飽きない」と言い、幼い頃のように伸ばしてくれる事を期待しているところがある。

 すると、ユリシスが「なるほど」と理解に至ったような顔で相槌を打った。

「一時期引き取られていた事もあって、今も伯爵家とは交友があるわけですね。ルーファス様とは、最近もお会いしたのですか?」
「ううん、最後に会ったのは四年ぐらい前だし、ルーファスも覚えてないんじゃないかな」

 ラビがそれとなく述べると、セドリックが「そんな事はないですよ」と笑った。

「兄さんの口からは、今でもラビの話が出ますし、末っ子みたいに考えているところもありますから、寂しがっていると思います」