ジンの後ろから、他の部隊員達も興味津々にこちらを見つめていた。昨日の一件を心から懲りている様子はないみたいだと理解しつつ、ラビは顰め面で答えた。

「獣師として仕事をする。氷狼の件を協力して欲しいって頼まれてるし」
「俺が案内しようか?」

 テトが提案したが、ユリシスが「駄目です」と断った。

「あなた方は、自分の仕事に専念して下さい。昨日の件について残業が欲しい方は、いつでもおっしゃってくれてかまいませんよ」

 途端に男達は慌ただしく朝食を済ませると、ラビが残した残りの料理を食べ進めるテトを置いて、逃げるように食堂を出て行った。テトが最後にラビ達の食器まで片付け、満足した顔で「じゃあな~」と言って去っていった。


 食堂から、ラビ達以外の人間がいなくなり、あっという間に静かになった。

 ユリシスが小さく息を吐き、自分とセドリックの分の珈琲を淹れた。セドリックはラビを気にして「飲みますか」と訊いたが、彼女は片手を振って要らない事を伝えた。

 人がほとんどいなくなったタイミングで、ノエルが食堂にやって来た。