「お前、昨日は到着早々荒れてたなぁ。俺は参加しなかったけど、見直したぜ!」
「それはどうも……」

 テトは、丼ぶり茶碗と箸を持っており、話しながらラビの向かい側に腰を落ち着けてきた。

 ユリシスが深々と息を吐き、「君は楽観的でいいですね」と皮肉を口にした。

「こちらとしては部隊員の士気も落ち、団長も寝込んで、そのうえどちらにも敬意すら示さないじゃじゃ馬の扱いには、ほとほと困らされているところですよ」
「ユリシス様は深く考え過ぎなんすよ。――あ、食わないんなら肉、もらってもいいか?」

 彼の自由さに押されつつ、ラビがどうにか肯き返すと、テトは笑顔で料理に手を伸ばした。ようやく足の痛みが引いたセドリックが、「僕も加勢しますよ」と続いてラビの皿に箸を向けた。

 テトは、成長期の食べ盛りのような勢いで食べ進めながら、もごもごと口を動かせて器用に話した。

「ま、打ち負かされて気分が沈んでんのも、今だけだって。喧嘩に負けた事を引きずる器の小せぇ奴はいないから、気にすんな?」

 テトはどうやら、食堂に漂う妙な空気について、ラビが気にしていないか確認しに来たようだ。