「だから小さいままなのですよ、彼は」
「うっさいな、身長は関係ないじゃん」
「ああ、確かに」

 ふと、セドリックが視線を上げて考え込み、一拍を置いて「うん」と頷いた。

「ラビは比較的小さいですよね」

 一般的な十七歳の女性と比べたうえでの意見だとは知っていたが、ラビはそれでも許せず、テーブルの下にあるセドリックの足を思い切り踏みつけた。どうせ二次成長もまだだよ、と腹の中で悪態を吐く。

 セドリックが無言で痛みを堪える様子を、ユリシスが同情するように見つめた。

 その時、赤茶色の頭をした青年がひょっこり顔を覗かせ、「よっ」と陽気に声を掛けて来た。ホノワ村から同行していたテトである事に気付いて、ラビは、箸をくわえたまま彼へと目を向けた。

 改めて正面から見てみると、テトはどの隊員よりも一回り小さくて華奢だった。顔立ちには少年期の幼さがまだ残されており、恐らく十代後半と思われた。

 ここには団長以外の全部隊員が揃っているわけだが、見渡してみると、団長のグリセンと喫煙家のヴァンの他は、全員が二十代だ。つまり、テトは唯一の十代で、もしかしたら一番の若手なのかもしれないとラビは推測した。