ラビは食事を受け取りに向かった際、料理を作っていた中年女性に「少なめで」と声は掛けていたのだが、新米騎士とでも思われたのか、「いっぱい食べなきゃ駄目よぉ」と少し下手くそだが、やけに愛嬌のあるウインクと共に大盛りにされてしまって不服だった。

「ラビ、箸が進んでいませんね。食欲がないんですか?」

 セドリックが、なかなか量の減らないラビの皿の上を覗きこんだ。

 十人ほど座れるテーブルには、ユリシス、ラビ、セドリックの三人しか座っていない。

「……量が多すぎる。あと塩辛い。お前らが食い過ぎなんだよ」

 白米を口に運びながら、ラビは苦々しく答えた。セドリックが、近い距離から苦笑をこぼした。

「すみません、気が付かなくて。無理しなくていいですよ。ラビとこうやって食事をするのも、すごく久しぶりで嬉しくて。次からは気をつけます」
「甘やかしてはいけませんよ、副団長」

 ユリシスが素早く口を挟み、ラビを見降ろした。