開けた一階広間には、深夜だというのに十数人ほどの男達が残っていた。二十代の彼らは本を読んだり、チェスをしたり、タンクトップ一枚で腕相撲をして盛り上がっていた。

 男達は、上司であるセドリックからラビを紹介されると、物珍しそうに見つめながら「よろしく」と、やんちゃな子供のような口調で声を揃えた。

 一同を代表するように、顎の先に髭のあるタンクトップ男が、セドリックの横に立つラビを覗きこんだ。

「話に聞いてたより小せぇなぁ。お前、剣とか扱えんのか?」

 すると、遠巻きに見ていた他の男達も、わらわらとやって来てラビを興味津々と見降ろした。

「マジで金髪だ~」
「細ぇな、ちゃんと筋肉つけねぇと大きくなれねぇぞ?」
「襲撃されたら、真っ先お荷物になりそうだな」
「いいんですか副団長。最近は物騒なのに、獣師とはいえこんな弱そうな子供を置くなんて。問題にならないんすか?」

 小さい、弱い、お荷物……という三単語で、ラビの怒りが最短で沸点を超えた。