ユリシスが珍しいものを見るような顔で、項垂れるセドリックを眺めた。彼は顎を触り、セドリックとラビを見比べて、副団長の悩みを勘繰った。

「なるほど。珍しい毛色ではありますが、顔立ちはまぁまぁですからね。率直に訊きますが、君は最近髪や目を理由に、誰かに襲われましたか?」
「『襲われる?』――物理的攻撃を受けたかって話なら、最近はないけど?」
「なんですか、その物理的攻撃というのは」
「石を投げられるとか、外側から扉を封鎖されたり、柵に落書きされたり、ポスト破壊されたり?」
「なかなか物騒ですね」

 私に訊かれても困りますよ、とユリシスは眉を顰め、さりげなく改めて副団長の幼馴染を観察した。

 ユリシスから見ても、ラビは男にしては整った顔立ちをしており、身体も華奢である。しかし女に困らない土地で、こんな色気もないがさつなガキを襲う物好きな男がいるとは想像もつかないので、一体どうして副団長が心配しているのか、不思議でならなかった。