しかし素直な口調で謝られて、セドリックは、今度こそ言葉を失った。脳裏を掠める最悪の状況を思って、全身から血の気を引かせる。
そんな二人のやりとりを見守っていたユリシスが、よく分からないというように口を開いた。
「つまり君は、ここを出て行くから氷狼の件には関わりたくないという事ですか? 村を出る理由は、その目と髪の色に関わる事なのでしょうか」
「別に、オレの勝手だろ」
セドリックが固まってしまった事を疑問に思ったものの、逃げるのかと直球で言うようなユリシスの口振りが勘に障り、ラビは彼を睨み返した。
「村を出たいのでしたら、今回の件に付き合って頂いて損はないと思いますよ。往復を含めて、一時的にでも十日以上はここから離れられます。現地の警備棟には食堂も寝室もありますから、食事の面倒も寝泊まりの問題もありません」
「食事とか寝床とか、興味ないし」
「騎士団が所有する建物には、地図の他にも地理に関わる蔵書が多くありますよ。見たくはないですか。旅をするのなら、きちんとデータを取っておくべきでしょう」
「ぐぅっ、……なるほど」
確かに、それが本当だとするならば、悪い話しではないのかもしれない。各地に支部がある騎士団は、仕事柄遠征も多いから、詳しい資料や記録の他に、新しい地図も多く持っている可能性はある。
それとなくノエルに目配せすると、彼がこちらへと真面目な顔を向けた。
そんな二人のやりとりを見守っていたユリシスが、よく分からないというように口を開いた。
「つまり君は、ここを出て行くから氷狼の件には関わりたくないという事ですか? 村を出る理由は、その目と髪の色に関わる事なのでしょうか」
「別に、オレの勝手だろ」
セドリックが固まってしまった事を疑問に思ったものの、逃げるのかと直球で言うようなユリシスの口振りが勘に障り、ラビは彼を睨み返した。
「村を出たいのでしたら、今回の件に付き合って頂いて損はないと思いますよ。往復を含めて、一時的にでも十日以上はここから離れられます。現地の警備棟には食堂も寝室もありますから、食事の面倒も寝泊まりの問題もありません」
「食事とか寝床とか、興味ないし」
「騎士団が所有する建物には、地図の他にも地理に関わる蔵書が多くありますよ。見たくはないですか。旅をするのなら、きちんとデータを取っておくべきでしょう」
「ぐぅっ、……なるほど」
確かに、それが本当だとするならば、悪い話しではないのかもしれない。各地に支部がある騎士団は、仕事柄遠征も多いから、詳しい資料や記録の他に、新しい地図も多く持っている可能性はある。
それとなくノエルに目配せすると、彼がこちらへと真面目な顔を向けた。