「ラビ、言い辛い内容かもしれませんが、正直に話して下さい。あなたはそういった知識も薄いですから、理解出来なくてショックな事だったとは思いますが、……ひどい事をしたのが『男』だったから、こっちを見てくれないんですか……?」

 ラビは懸命に説得方法を考えていたので、セドリックから投げかけられる言葉の内容や、肩に伸ばされる手にも気付いていなかった。彼に「ラビ」と肩に触れられて、驚いて飛び上がった。

 思わず反射的に手を振り払うと、何故かセドリックが蒼白した。

 彼は、ラビに手を弾かれたままの姿で硬直し、目が合うなり傷ついた顔をした。なんだかこっちが悪い事をしたような気分になって、ラビは、申し訳なく思って眉尻を下げた。

「……ごめん。その、考え事をしてたんだ…………痛かったんなら謝る、えぇと、ごめんなさい」

 傷つけてしまったようだから、ラビは、最後は言葉を整えて「ごめんなさい」と丁寧に謝った。セドリックは愛されて育った優しい人間だから、冷たくされる事には慣れていないのだろうなと、彼女なりに配慮したつもりだった。