しばらくすると、ようやく使用人が出てきてラビを屋敷内へと招き入れた。そこにいたのは、深い青のドレスを着こなした伯爵夫人で、彼女は数日振りのラビの訪問を歓迎した。
「よく来てくれたわねぇ」
伯爵夫人は、いつも我が子に対するのと同じように抱きしめてくる。ラビは恥ずかしくなって、「やめてください」と弱々しい声で言って身じろぎした。
キャラメル色の長い髪を結い上げ、清楚な美しさを漂わせた伯爵夫人は、セドリックが好きな甘いスコーンを沢山用意して、先程まで皆に振る舞っていたのだと楽しそうに語った。
「でも、残念よねぇ。お仕事の途中で、あまり長居は出来ないらしいの。夕食は無理だと言うから、せめてスコーンぐらい食べて行ってと提案したのよ。でも、少し作り過ぎてしまったみたいね」
「へぇ、作り過ぎ……」
ラビは、一瞬、普段から伯爵家で出されている甘いスコーンの存在に気を取られた。
伯爵家で一時期世話になったラビも、二ヶ月は伯爵家の子供たち同様、夫人の作るスコーンをおやつにして育った。あれはかなり美味く、ラビも大好物である。
「よく来てくれたわねぇ」
伯爵夫人は、いつも我が子に対するのと同じように抱きしめてくる。ラビは恥ずかしくなって、「やめてください」と弱々しい声で言って身じろぎした。
キャラメル色の長い髪を結い上げ、清楚な美しさを漂わせた伯爵夫人は、セドリックが好きな甘いスコーンを沢山用意して、先程まで皆に振る舞っていたのだと楽しそうに語った。
「でも、残念よねぇ。お仕事の途中で、あまり長居は出来ないらしいの。夕食は無理だと言うから、せめてスコーンぐらい食べて行ってと提案したのよ。でも、少し作り過ぎてしまったみたいね」
「へぇ、作り過ぎ……」
ラビは、一瞬、普段から伯爵家で出されている甘いスコーンの存在に気を取られた。
伯爵家で一時期世話になったラビも、二ヶ月は伯爵家の子供たち同様、夫人の作るスコーンをおやつにして育った。あれはかなり美味く、ラビも大好物である。