×印はどんどん増えたが、印の入っていない土地を歩き進んでみる楽しみが膨らんだ。

 家に残っていた両親との思い出の品も、今は、村を離れられるまでに片付けが済んでいた。旅の進路については決まっていて、十七歳になった現在、一ヶ月分の薬草師と獣師の仕事の予定の他はなく、来月の仕事は埋めていなかった。

 もう、他に予定を入れるつもりはない。

 予定では十七歳の誕生日に冒険を始めるつもりでいたが、仕事の関係もあり、十七歳になって二ヶ月も過ぎてしまっていた。

 早ければ来月にも村を離れる気でいたので、辺境の地で起こっているという害獣に関わるつもりはなかった。セドリックが副団長を務めているのは、第三騎士団だ。学位を持っている獣師も多くいる中で、セドリックの幼馴染という理由だけでラビが出る必要はないだろう。

 セドリックとユリシスを置き去りにしたラビは、伯爵邸の別荘の門をくぐり、玄関扉の前に立った。

『いいのか? あの眼鏡、怒り心頭って感じだったぜ』