「当法令の施行については、全権限を王宮騎士団総団長が持ち、対象者は王宮第三騎士団が身柄を預かり、終了の日まで全行動権限が制限される。――以上」

 以上って何!? 

 ラビは我に返ると、「ちょッ、コラおっさん!」と詰め寄った。オルゴンの後ろに控えていた二人の部下が、「なんて失礼な」「命知らずなのか」と唖然としたが、ラビは脇目を振らなかった。

「何勝手に喋ってんだッ。つか、なんとか法って何さ!?」
「十八歳未満の獣師に適用される特別な法令である。お前で三件目になる、喜ばしく思え」

 オルゴンはラビの態度も気にせず、感慨深く肯いた。

「そんな事聞いてねぇよ!」

 こいつと話しても無駄だと悟り、ラビは、セドリックを振り返った。彼は目が合うなり、ぎこちなく片頬を引き攣らせるような愛想笑いを浮かべた。

「久しぶりですね、ラビ。お元気そうで何より……」
「久しぶりじゃない! なんだよコレは!?」

 彼女が思わずセドリックの胸倉を掴みかかると、彼は「すみませんッ」と反射条件のように謝罪を口にした。テト、ジン、ヴァン、サーバルが彼の後ろで、ラビを同情の眼差しで見守っていた。