セドリックは、見ていられない様子で顔に手をやった。ラビが女性だと知っている面々も、ぎこちない顔で、彼女が十七歳の女にしては小さい事を考え込む。

 すると、外野も小さく騒ぎ始めた。

「十七歳ッ? あの落ち着きのなさで!?」
「つか成長期どころの話しじゃねぇだろッ!」
「最近まで一人で眠れなかったとか、マジかよ……ッ」
「人間以外にも被害が出るのか。いろいろと末恐ろしいガキだな!」

 ラビが思わず男達を睨みつけると、食堂は途端に静かになった。

 彼女が「くそッ、なんだよ皆して」と本気で悔しがると、ノエルが『落ち着けよ』と短い息を吐いた。

『俺は、お前のそんなところも好きだぞ』

 静まり返っていた食堂に、食事を喉に詰まらせる男達の咳が巻き起こった。ラビの左右では、セドリックとユリシスが激しく咽返っている。

「嬉しいような、嬉しくないような……うん。でも、ありがとう」
『まぁ、俺の尻尾でも触って、ちょっと落ち着けよ』
「耳がいい」
『マジか。くすぐったいから苦手なんだが』

 ラビは椅子から降りると、ノエルの頭をわしゃわしゃと撫で、大きな耳を触って心を落ち着けた。しかし、動いている尻尾が気になってしまい、やはり最後は、彼のふわふわとした大きな尻尾を掴まえた。