ノエルは、軋む身体を動かせるのが億劫だったのか、その様子を面白そうに眺め、肉も野菜も魚も、どんどん胃袋に収めていった。

 昨日の働きで、相当腹が減っていたようだ。ラビは、ノエルが体力を使うほどによく食べる事を思い出しながら、彼が多くの人に話し掛けられるという見慣れない光景を、しばし目に止めた。

 どことなくノエルも嬉しそうだし、ラビは、少しだけ嬉しく思った。

「ラビ、ノエルは肉食ではないのですか?」
「どうだろ、生のお肉はあげた事ないけど。野菜もお菓子も食べるし、サンドイッチとかも好きだよ」

 セドリックとラビのやりとりを聞いたユリシスが、「犬や狼は、雑食ではないはずなのですがね」と、焼き茄子もペロリと平らげたノエルを、実に怪訝そうに見やった。

 ノエルが耳を立てて、面倒そうにユリシスへ視線を向けた。

 ユリシスの隣に座っていたグリセンが、びくりと反応した。昨日、結果的には救われた事もあって、心強い味方として感謝と好奇心を持っていたのだが、ノエルの荒々しい言葉使いと、大きな獣という見た目にはグリセンの臆病癖が本能的に反応してしまうのだ。