怪我をした氷狼達については、ラビが傷の手当てを行い、傷の浅い騎士達が荷馬車を出して氷山まで急ぎ送り届けた。ノエルは包帯を嫌がり、――締めつけられる感じが駄目らしい――結局は、氷狼と同じように傷薬だけを塗る事となった。

 全員軽傷ではあったものの、最後にラビを止めようとした際に受けた傷の方が目立つ者が多かった。

 セドリックとヴァンは腹に青痣ができ、ジンは、後頭部に大きな瘤が出来て包帯で巻かれた。今後はラビを怒らせない方向でやろう、と全員一致で話がまとまっていた。

「あいつ、とんでもねぇじゃじゃ馬だよな」
「あの状況でよく動けたよな。いちおう負傷直後じゃなかったっけ?」
「俺、また足蹴にされた……」
「俺なんて横っ面を一蹴りだよ。走りながらとか、マジで器用過ぎるだろ」
「木材とか容赦ねぇよな……」

 その日は、全員の働きと無事の乾杯もあって、早めに夕食の席につく事になった。

 よく食べてよく喋る中、ラビとノエルはその場を使って、改めて事件の全容を大まかに説明した。採掘された物の中に混じっていた特別な石が、氷狼を凶暴化させていた事、そこには妖獣が絡んでいた事が簡潔に伝えられた。