「ノエルは、ずっと一緒にいてくれるって言った。オレの事、独りにしないって言ったのに、怪我がひどくて死んじゃったら、もう会えないんだよ」
『…………俺ハ、死ナナイ。殺セル奴ハ、イナイ』
どこか呆れたようにノエルが言って、口許から氷狼を離した。
黒大狼の姿は次第に小さくなり、五本の尾が一つにまとまって、優雅で贅沢な漆黒の毛並みを揺らめかせた。彼女が大声を上げて泣き始める頃には、いつも見慣れたノエルの姿がそこにはあり、彼はそっと腰を落ち着けた。
座りこむノエルの首に、ラビは改めて抱きついた。
彼の赤い血は、もう何者も焼き尽くさなかった。ラビの腕と頬を赤く染め上げ、静かに地面へと滴り落ちる。
疲れ切って項垂れたノエルの金緑の瞳が、ラビの華奢な背中を見据えた。その視線が彼女の傷ついた腕へと流れ、尻尾が労わるようにその腕を撫で上げる。
「……ノエル、帰ろう。どこまでも一緒にいてくれるんでしょう?」
場が収束した事を知って、セドリックを筆頭に、騎士団が駆け寄って来る。
ノエルは、その光景をラビの肩越しに見つめて、静かに目を閉じた。
『…………俺ハ、死ナナイ。殺セル奴ハ、イナイ』
どこか呆れたようにノエルが言って、口許から氷狼を離した。
黒大狼の姿は次第に小さくなり、五本の尾が一つにまとまって、優雅で贅沢な漆黒の毛並みを揺らめかせた。彼女が大声を上げて泣き始める頃には、いつも見慣れたノエルの姿がそこにはあり、彼はそっと腰を落ち着けた。
座りこむノエルの首に、ラビは改めて抱きついた。
彼の赤い血は、もう何者も焼き尽くさなかった。ラビの腕と頬を赤く染め上げ、静かに地面へと滴り落ちる。
疲れ切って項垂れたノエルの金緑の瞳が、ラビの華奢な背中を見据えた。その視線が彼女の傷ついた腕へと流れ、尻尾が労わるようにその腕を撫で上げる。
「……ノエル、帰ろう。どこまでも一緒にいてくれるんでしょう?」
場が収束した事を知って、セドリックを筆頭に、騎士団が駆け寄って来る。
ノエルは、その光景をラビの肩越しに見つめて、静かに目を閉じた。