あ、まずい。どうしよう。
一瞬、ラビの思考が停止した。二頭同時に相手にするのは無理だと分かって、咄嗟に判断出来なかった。
ちょうどその時、町を見回っていた二人の騎士が、騒ぎを聞いて、例の荷車を押しながら戻って来た。彼らは黒大狼と氷狼、そして攻防を繰り広げる騎士団の惨状に悲鳴を上げた。
「この荷車は一体どうしたらいいんですか副団長ッ!?」
自分達も戦います、と彼らは上司へ指示を仰いだ。
その声を聞いた途端、ラビは我に返り、ワンテンポ遅れて剣を構えた。ここまで距離を近づけられたら、倒せても一頭だけだろうと考えながらも、二頭の氷狼と対峙すべく眼前を睨み据えた。
まずは一頭目の氷狼の突進の軌道を読み、身を翻して悪鬼を切り払った。同時に二頭目が強靭な前足で宙を裂き、避けられずに肩を打ち払われて、ラビは強烈な痛みと共に地面の上を二、三回転した。
強打された左肩から腕にかけて、激痛が走った。爪が当たった腕が、冷た過ぎて痛いのか、熱いのか分からなくなる。
苦痛に叫び出しそうになる悲鳴を飲み込み、奥歯を噛みしめた。爪が突き刺さったか、もしくは腕の肉をもぎ取られたものだと覚悟したが、腕を押さえた際に、激しい流血がない事に気付いた。
一瞬、ラビの思考が停止した。二頭同時に相手にするのは無理だと分かって、咄嗟に判断出来なかった。
ちょうどその時、町を見回っていた二人の騎士が、騒ぎを聞いて、例の荷車を押しながら戻って来た。彼らは黒大狼と氷狼、そして攻防を繰り広げる騎士団の惨状に悲鳴を上げた。
「この荷車は一体どうしたらいいんですか副団長ッ!?」
自分達も戦います、と彼らは上司へ指示を仰いだ。
その声を聞いた途端、ラビは我に返り、ワンテンポ遅れて剣を構えた。ここまで距離を近づけられたら、倒せても一頭だけだろうと考えながらも、二頭の氷狼と対峙すべく眼前を睨み据えた。
まずは一頭目の氷狼の突進の軌道を読み、身を翻して悪鬼を切り払った。同時に二頭目が強靭な前足で宙を裂き、避けられずに肩を打ち払われて、ラビは強烈な痛みと共に地面の上を二、三回転した。
強打された左肩から腕にかけて、激痛が走った。爪が当たった腕が、冷た過ぎて痛いのか、熱いのか分からなくなる。
苦痛に叫び出しそうになる悲鳴を飲み込み、奥歯を噛みしめた。爪が突き刺さったか、もしくは腕の肉をもぎ取られたものだと覚悟したが、腕を押さえた際に、激しい流血がない事に気付いた。