ラビは騎士達をサポートしながら、出来るだけ一頭でも多くの氷狼を鎮静化させるべく走り回っていた。地面に転がる獣の数も増えていたが、住民達が避難した警備棟の周囲は、立ち向かう騎士よりも氷狼の姿がまだ圧倒的に多かった。
他の騎士と共に、三頭の氷狼と応戦していたテトが、ラビに気付いて注意をそらした時、そのうちの一頭が彼の脇を通過した。
「うわッ。すまんそっちに行ったぞ!」
ラビはテトの声よりも早く反応すると、向かって来る氷狼に剣を構えた。繰り出される爪先をぎりぎりでかわし、氷狼の耳の辺りに立っていた悪鬼を切り裂いた。
テトが「助かったぜ!」と軽く手を振り、ラビも後ろ手を振って応えた。
警備棟の敷地内では、屋上から続々と降りてくる氷狼にグリセンが放火銃を放ち、セドリックとユリシスが、動きが鈍くなった氷狼を素早く鎮圧していた。
しばらくすると、屋上から、複数名の騎士が顔を覗かせて叫んだ。
「今下っていった氷狼が最後です!」
「我々も、階下に降りて応戦します!」
「こちら死者なし!」
ラビは、そんな男達の張り上げる声を聞きながら、目先の氷狼に飛び掛かり、狙いを定めて悪鬼を突き刺した。「死者はなし、か」と半ば安堵の息を吐き、乱闘の喧騒を聞きながら屋上へと目を向けやる。
不意に、後方から一つの濁声が彼女の耳に滑り込んだ。
『お前、俺達が見えるな?』
キィキィと語尾が嗤い、ラビは反射的に振り返った。
他の騎士と共に、三頭の氷狼と応戦していたテトが、ラビに気付いて注意をそらした時、そのうちの一頭が彼の脇を通過した。
「うわッ。すまんそっちに行ったぞ!」
ラビはテトの声よりも早く反応すると、向かって来る氷狼に剣を構えた。繰り出される爪先をぎりぎりでかわし、氷狼の耳の辺りに立っていた悪鬼を切り裂いた。
テトが「助かったぜ!」と軽く手を振り、ラビも後ろ手を振って応えた。
警備棟の敷地内では、屋上から続々と降りてくる氷狼にグリセンが放火銃を放ち、セドリックとユリシスが、動きが鈍くなった氷狼を素早く鎮圧していた。
しばらくすると、屋上から、複数名の騎士が顔を覗かせて叫んだ。
「今下っていった氷狼が最後です!」
「我々も、階下に降りて応戦します!」
「こちら死者なし!」
ラビは、そんな男達の張り上げる声を聞きながら、目先の氷狼に飛び掛かり、狙いを定めて悪鬼を突き刺した。「死者はなし、か」と半ば安堵の息を吐き、乱闘の喧騒を聞きながら屋上へと目を向けやる。
不意に、後方から一つの濁声が彼女の耳に滑り込んだ。
『お前、俺達が見えるな?』
キィキィと語尾が嗤い、ラビは反射的に振り返った。