グリセンは、新たに屋上から飛び降りて来た氷狼を阻止すべく、放火銃を放っていた。氷狼が突破しようと彼に向って前足を大きく振り上げた時、ラビは地面を蹴り上げ、全体重を掛けて獣の背中を乱暴に剣で打ち付けた。
氷狼が、衝撃に四肢を折り曲げた。彼女は氷狼の後ろに着地してすぐ、振り返りざまグリセンに向かって叫んだ。
「グリセンッ、その放火銃を氷狼の左側頭部に打ち付けろ!」
グリセンは突然の怒号に驚いたのか、「ひぃ!?」と悲鳴を上げて、持っていた放火銃を、ほぼ反射的に振り回して氷狼を勢いよく打っていた。
氷狼の鬣の横にしがみついていた悪鬼が潰れ、氷狼が地面に崩れ落ちた。ラビは、唖然とするグリセンに氷狼の対処法について手短に伝え、出来るだけ他の人にも指示して欲しいと頼むと、警備棟から既に離れ始めている氷狼に狙いを定めて走った。
しかし、その途中、ラビはセドリックとユリシスとバッタリ顔を合わせた。
出会い頭、ラビは質問攻めにされたが「うるっさい!」「そんな暇はないッ」と怒鳴って彼らを黙らせた。
「目に見えない害獣を叩けばどうにかなるからッ。それよりも警備棟の屋上から侵入されて、グリセンの方が手薄になってるみたいだし、とあえず頼んだぜ!」
「待って下さいラビッ、一人でどこへ――」
セドリックが制止の声を上げる中、ラビは駆け出しがてら一度だけ振り返り「頑張れよ副団長!」と言って走り去った。
※※※
見えない害獣が付いている、と聞いた騎士達は、半信半疑ながらも行動に移った。しかし、打ち所によっては呆気なく氷狼が意識を失う事を実感すると、「よく分からねぇけど、やるぞぉ!」と、猛然として氷狼の群れに立ち向かい出した。
騎士団の包囲網をかいくぐった氷狼については、包囲網の外で待ち構えていた黒大狼のノエルが対応にあたり、氷狼達の氷の体表の刺を砕きながら悪鬼を潰した。
氷狼が、衝撃に四肢を折り曲げた。彼女は氷狼の後ろに着地してすぐ、振り返りざまグリセンに向かって叫んだ。
「グリセンッ、その放火銃を氷狼の左側頭部に打ち付けろ!」
グリセンは突然の怒号に驚いたのか、「ひぃ!?」と悲鳴を上げて、持っていた放火銃を、ほぼ反射的に振り回して氷狼を勢いよく打っていた。
氷狼の鬣の横にしがみついていた悪鬼が潰れ、氷狼が地面に崩れ落ちた。ラビは、唖然とするグリセンに氷狼の対処法について手短に伝え、出来るだけ他の人にも指示して欲しいと頼むと、警備棟から既に離れ始めている氷狼に狙いを定めて走った。
しかし、その途中、ラビはセドリックとユリシスとバッタリ顔を合わせた。
出会い頭、ラビは質問攻めにされたが「うるっさい!」「そんな暇はないッ」と怒鳴って彼らを黙らせた。
「目に見えない害獣を叩けばどうにかなるからッ。それよりも警備棟の屋上から侵入されて、グリセンの方が手薄になってるみたいだし、とあえず頼んだぜ!」
「待って下さいラビッ、一人でどこへ――」
セドリックが制止の声を上げる中、ラビは駆け出しがてら一度だけ振り返り「頑張れよ副団長!」と言って走り去った。
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見えない害獣が付いている、と聞いた騎士達は、半信半疑ながらも行動に移った。しかし、打ち所によっては呆気なく氷狼が意識を失う事を実感すると、「よく分からねぇけど、やるぞぉ!」と、猛然として氷狼の群れに立ち向かい出した。
騎士団の包囲網をかいくぐった氷狼については、包囲網の外で待ち構えていた黒大狼のノエルが対応にあたり、氷狼達の氷の体表の刺を砕きながら悪鬼を潰した。