この目で確認していないので確証はないが、恐らく、幼馴染のどちらかが戻ってきたのかもしれない。根拠なく仕事を遅らせたくはないので、一度見に行って、それが本当であったなら訪問時間をずらそう。

 ラビは考えをまとめると、ひとまず拳を握り固めて、騒ぐ彼らの頭に容赦なく拳骨を落とした。

「黙れ。『忌み子』ってだけで罪になるわけないじゃん。お前ら気にし過ぎ」
「だって、心配なんだもん。俺の親父、ラビが早くいなくなればいいのに何て言うんだぜ。ひどくね?」

 黒赤毛の少年が、拳骨の衝撃で目尻に涙を浮かべながら唇を尖らせた。この前の誕生日会だって、本当は呼びたかったのに説得出来なくてごめん、と呟く。

 ラビはむずがゆい気持ちになって、彼の頭を乱暴に撫でてやった。オレの事は気にすんなよと笑い掛けると、少年達は安心したように手を振って、「仕事頑張れよー」と言い残して離れていった。

『で、行くのか?』
「まぁね。この目で確認してからってところかな」

 隣に立ったノエルに、ラビは目を向けないまま小声でそう答えた。