ラビがユリシスを睨みつけると、その向かい側にいたセドリックの眼光に殺気が灯った。

「――年上……なるほど旅の男ですか。どこの馬の骨です?」
「だから親友だってば! お前もルーファスも知らない奴! オレにだって友達ぐらいいるんだからな!?」
「あなたと長い付き合いがある人間で、僕達の知らない者がいるとは信じられません。まずは、その親友とやらを僕に紹介して下さい。彼に直接話しを聞きます。逃避行だなんて、ろくな男じゃない」
「お前何言ってんだ!」

 二人の男の視線を受けて、ラビはテーブルに突っ伏した。

 どうにも説得出来そうにない。というか、オレに友達がいるのがそんなに信じられないとか、こいつマジで失礼過ぎる。

 腹の中で文句を吐き出し、ラビは悔しそうに奥歯を噛みしめた。話の様子を少し見守っていたユリシスが、そんな彼女を横目に見てこう言った。

「そんなに仲がいいのなら、紹介するぐらい問題ないでしょう。何を必死になっているのですか」
「外野は引っ込んでろッ」

 畜生、こいつがいると余計に面倒になっているような気がする!

 ラビは、テーブルに伏せたまま噛みつくように反論したのだが、セドリックとユリシスはその間も次々に質問や指摘をして来た。