ラビは、可能な範囲で出来るだけ答えたつもりだったが、セドリックは、まだ疑う目で彼女を見据えていた。

「ユリシスと確認しましたが、騎士団内で、あなたに協力を求められた人間はいませんでした。どこからそういう情報を入手したのかも気になるのですが」
「……えぇっと、その、動物の気持ちが分かるっていうか、考えている事が分かるというか」
「馬や鳥や猫から知れた、という事ですか? その才能があったから、狼も説得出来て、母上の様子もビアンカから聞いていたと?」

 半ば納得出来ないように、セドリックは眉根を寄せた。

 ラビが黙っていると、先に折れたとばかりにセドリックが大きく肩を落とした。珍しく冷静を欠くように髪をかき上げ、独り事のように呟く。

「動物といるあなたは、彼らとは意気投合しているように見えるから不思議です……つまり、あなたは動物の考えている事や気持ちを、まるで喋っているように正確に受信出来るんですね。ひとまずは、そういう事にしておきましょう。獣師には、うってつけの才能だと思います」

 でも、とセドリックはテーブルに視線を落として続けた。