食べ始めると、セドリックが足を組んで真顔で見つめてきたので、戸惑いつつ「食べたいのか」と訊くと、「いいえ」とそっけなく返されてしまう。

 セドリックが、テーブルの上で手を組み「ラビ」と静かな口調で言った。

「先日からの事ですが、あなたの調査については不思議な事があります。人に聞いていないのに氷狼の情報を把握していたり、突然一ヶ月以上前の事件を掘り返したりと、――そうですね、まずは今日の調査について、目的などを教えて頂けますか」

 走り回った疲労があるのか、いつもは優しいセドリックの眼差しが鋭く見えた。

 ラビは、尋問されているような気分になって言い澱んだ。

「……その、この町で、氷狼が凶暴になってしまう物があるみたいなんだ。町の外で殺されてしまった人がそれを持っていたみたいで、だから、それを探してる」
「言って頂ければ僕らも協力して動く事がます。何故黙っていたんですか?」
「えっと、確証がまだないというか……」

 目に見えない妖獣の悪鬼というものがいて、彼らに都合のいい魔法みたいな石がある、なんて言っても信じてもらえないだろう。