「ねぇラビ、今度川釣りしようぜ! 獣師なんだし、ついでに羊の散歩も手伝ってよ」
「おいコラ、無償で雇われる義理はねぇぞ。オレは、これから仕事なの。だからとっとと散れ、チビッコ共」
ラビが「しっしっ」と追い払う仕草をすると、群がっていた子供達が「仕事かぁ」と納得したように渋々手を離した。仕事の邪魔をしないところは、素直で唯一可愛いところだとラビは思った。
その時、その様子を遠くから見ていた馬屋の少年が、普段つるんでいる友達とラビに向かい「お~い」と声を掛けた。年は十三歳で、いつも手伝いの合間に木箱の上に座って休憩している少年である。
「ラビ、今から伯爵のところに行くのか? 場違いな馬車が通ってったから、今日は止めた方がいいんじゃね? 騎士団の紋章が入ってたよ」
「騎士団?」
ラビが足を止めて怪訝な顔をすると、先程ラビの腕にしがみついていた少年が、ハッとしたように顔を強張らせた。
「えッ、もしかしてラビ、連れてかれちゃうのか!?」
「金髪金目って処刑されちゃうのッ?」
「何かやらかしたのかよ、ラビッ」
「もしかして『忌み子』って処分されちまうのかッ?」
騎士団と聞いて、伯爵家の二人の息子まで考えがいきつかない子供達が、勝手な想像を膨らませて青い顔で騒ぎ出した。
「おいコラ、無償で雇われる義理はねぇぞ。オレは、これから仕事なの。だからとっとと散れ、チビッコ共」
ラビが「しっしっ」と追い払う仕草をすると、群がっていた子供達が「仕事かぁ」と納得したように渋々手を離した。仕事の邪魔をしないところは、素直で唯一可愛いところだとラビは思った。
その時、その様子を遠くから見ていた馬屋の少年が、普段つるんでいる友達とラビに向かい「お~い」と声を掛けた。年は十三歳で、いつも手伝いの合間に木箱の上に座って休憩している少年である。
「ラビ、今から伯爵のところに行くのか? 場違いな馬車が通ってったから、今日は止めた方がいいんじゃね? 騎士団の紋章が入ってたよ」
「騎士団?」
ラビが足を止めて怪訝な顔をすると、先程ラビの腕にしがみついていた少年が、ハッとしたように顔を強張らせた。
「えッ、もしかしてラビ、連れてかれちゃうのか!?」
「金髪金目って処刑されちゃうのッ?」
「何かやらかしたのかよ、ラビッ」
「もしかして『忌み子』って処分されちまうのかッ?」
騎士団と聞いて、伯爵家の二人の息子まで考えがいきつかない子供達が、勝手な想像を膨らませて青い顔で騒ぎ出した。