その様子を見ていたユリシスが、面白くなさそうに片方の腰に手を添えた。

「残念そうな顔ですね。ずっと一緒だったという『親友』でも探していたのですか。まさか添い寝するほど仲がいいとは思いませんが」

 ユリシスは嫌味で言ったつもりだったが、ラビは、それの何が悪いのだというような顔をした。

「……? 男でもするだろ、添い寝」
「しませんよ!」

 ユリシスは即座に否定した。こいつは頭の中まで子どもなのか! と、その常識力を疑った。

 全力で否定されたラビは、ユリシスが口にした『親友』が、ノエルを指している事を遅れて察し、背筋が冷えてようやく完全に目が覚めた。

 そういえば昨日、テトに問われてノエルの話をしたのだった。そばには、ユリシスもセドリックもいたから、恐らく彼らにも聞かれていた可能性が高い。

 ラビは言い訳しようとしたが、うまく頭が回らず舌が乾いた。その間にも、セドリックが疑う眼差しで彼女の目を覗きこんでくる。

「ラビ、『ノエル』という男はなんですか。そんな男がいたとは聞いてませんよ」