「普通の女性が、髪も短くして木刀を振り回し、色気もないうえに男の恰好を好んですると誰が思いますか! そういう事は始めにおっしゃって頂かないと困りますッ」
ユリシスは肩で息をしながら、セドリックの困ったような顔を見つめていた。長い間黙りこんだ末、深い溜息をこぼして「分かりました」と諦めたように言った。
「……確かに、男性だけの騎士団に、女性獣師が混ざる事で風紀も乱れる恐れがありますし、彼らが十代の女性に、木刀戦で負けたとあっては言い訳もできません。幸い彼女は少年にしか見えませんし、公言したら、今度こそ団長の胃に穴が空いてしまう可能性もあります」
自分にも言い聞かせるように呟いて、ユリシスは、四人の部下を振り返った。
ユリシスに鋭い眼差しで同意を求められ、彼らは途端に困惑した様子でたじろいだ。ユリシスは構わず、普段の無表情で部下達にこう宣言した。
「という訳ですので、今の副団長の発言を忘れて頂くか、女性だと意識せず、これまで通り『ラビ』として接して下さい。副団長と私が許可しない限り、口外しないように」
「意識せずって、難しいっすよ」
ユリシスは肩で息をしながら、セドリックの困ったような顔を見つめていた。長い間黙りこんだ末、深い溜息をこぼして「分かりました」と諦めたように言った。
「……確かに、男性だけの騎士団に、女性獣師が混ざる事で風紀も乱れる恐れがありますし、彼らが十代の女性に、木刀戦で負けたとあっては言い訳もできません。幸い彼女は少年にしか見えませんし、公言したら、今度こそ団長の胃に穴が空いてしまう可能性もあります」
自分にも言い聞かせるように呟いて、ユリシスは、四人の部下を振り返った。
ユリシスに鋭い眼差しで同意を求められ、彼らは途端に困惑した様子でたじろいだ。ユリシスは構わず、普段の無表情で部下達にこう宣言した。
「という訳ですので、今の副団長の発言を忘れて頂くか、女性だと意識せず、これまで通り『ラビ』として接して下さい。副団長と私が許可しない限り、口外しないように」
「意識せずって、難しいっすよ」