頭までシーツを被ってベッドで丸くなっているラビと、そんなラビを必死に起こそうと奮闘する、第三騎士団の仲で一番若いテトの姿を認めるなり、サーバルは「うわぁ、まだ起きてないんだ」と顔を強張らせた。

「まずいよ。昨日ユリシス様、すごい機嫌悪かったんだから早く起こしてあげてッ。寝坊したらただじゃおかないって、ピリピリしてたよ」
「マジかよッ。ユリシス様、もうそろそろで上がってくるんじゃねッ?」

 第三騎士団の説教係兼教育長を思い浮かべ、ジンは、思わず言いながら廊下へ目を走らせていた。

 彼らの間で交わされる内容を聞いて、テトがギョッとしたように振り返る。そんな彼の視線を受け止めたヴァンが、そろりと視線をそらした。

「あ~……俺、今から煙草タイムだから、お前らでよろしく」

 そう言って踵を返そうとしたヴァンの横で、同じように逃げようとしていたジンが、ふと足を止めて「そういえば」と思い出したように首を傾けた。