「おい、起きろって! お前は騎士団の人間じゃないけどさ、うちは規律が厳しいんだ。寝坊したらユリシス様に説教されるぞ!?」

 いや、説教は確実にされるだろう。そう想像がついて、テトはラビに同情した。

 昨日、ラビが深夜遅くまで書庫に閉じこもっていたらしいという話は、既に早朝訓練の時には仲間達の間に広がっていた。

 ラビは昨日の夕食時も顔を出さず、副団長であるセドリックにサンドイッチのパシリをさせた事も、ユリシスは快く思っていないはずなのだ。何故ならテトは、昨日の夜の見張りから戻った際、ちらりとユリシスを見掛けたのだが、かなり機嫌が悪そうだった。

 目が合った途端、物凄く睨まれたのだから間違いない。

 ラビの説教の時間が伸びるのは可哀そうであるし、昨日の昼から、ずっとまともにご飯を食べていない心配もある。テトは、ラビに今日の朝食まで逃させてしまうのはマズいと考え、「起きろぉ!」とシーツ越しに身体を激しく揺さぶった。