ラビは視線を泳がせた後、ちらりとテトを横目に見た。話の続きを期待するような彼の眼差しに、顔が引き攣りそうになった。

「……えっと、それぐらい、なんだけど?」
「どんな奴だった? もう会ってないのか? 村の人?」

 何故そこまで知りたがるんだ。

 ラビは困惑したが、ユリシスからの知らせを待っている間は、暇である事も確かだった。辺りに目をやるが、ラビ達の他に人の姿はなく、ノエルだっていない。

 話してくれるまでテトも諦めてくれない様子だったので、ラビは仕方なく、少しだけ語る事にした。ノエル本人に聞かれなければ恥ずかしくはないし、ずっと言えなかった彼の事を、誰かに聞いて欲しいような気持ちもあった。

「そいつは、オレの髪の色とか気にしないで、一番に友達になってくれた奴で」

 ラビは、ノエルを思い浮かべ、語る言葉を探しながら話した。

「口は悪いけど、すごく優しくて……九歳で両親が死んじゃってからも、ずっとそばにいてくれた親友なんだ」

 ラビは話しながら、ふと過去の風景を鮮明に思い出した。