「……セドリックに聞いたと思うけど、オレはあいつの家で少しだけ剣術を習って、え~っと、それから…………そう、友達! 仲のいい奴がいて、そいつと切磋琢磨したというか……」

 あれ? 別に答えたくないって言えば良かったような気がする……

 そう気付いた時には、馬鹿正直に口からこぼれた言い訳を聞いたテトが、既に好奇心溢れる瞳を輝かせていた。

「なるほど、友達か! 俺もさ、友達と一緒に剣の腕を磨いたんだ。あいつらが背中を押してくれたおかげで騎士にまでなれた。友達ってのは、ほんっと心強いよなぁ」
「うん、まぁ、そうだね……」

 相手は人間ではなく、ちょっと大きな、いや多分彼らが知るような通常の狼の枠から外れたような不思議な友達なのだが。

 そう正直に答える訳にもいかず、ラビは、ぎこちなく視線をそらした。

「なんだよ、もっと嬉しそうにしろよ。なんか理由でもあんのか?」
「いやいやいや、特にそういう事はッ。昔からずっと一緒だったし、いつもそばにいてくれてる兄みたいな奴というか……」

 口にすればするほど、墓穴を掘ってしまっているような気がする。