「白黒付けるかと言いますが、頭脳と真剣での勝負でしたら、恐らく君に勝ち目はありませんよ」
「やってみなきゃ分かんないじゃん」
「体格差の問題です」

 ユリシスは言い合う間も、それとなくラビの顔をしげしげと観察していた。

「手を見せて下さい」
「なんでだよ」

 唐突に要求され、ラビは鼻白んだ。ユリシスは、数秒沈黙し、思案した。

「――ちょっとした力比べをしましょうと言っているだけですよ。白黒ハッキリさせたいのでしょう?」

 腕相撲で勝負をつけようというのだろうか。そうであるなら、見せてという言い方は間違っているような気がする。

 彼でも言葉を言い間違える事もあるんだなと思いながら、ラビは、テーブルに肘をついて構えた。ユリシスが一瞬、呆れたように眉を寄せたが、すぐに同じような姿勢を取ってきた。

 お互いの手を握りしめ合うと、ユリシスが、掴んでいない方の手で握り具合を確かめるように触れてきた。ラビは顰め面のまま首を捻り、余計な手を引き剥がそうとしたのだが、唐突にその手を掴み返されてしまった。