早急にあれやこれやと尋ねてしまったのは、確かに悪かったかもしれない。ラビはそう反省しつつ、グリセンの胃痛を悪化させないよう配慮して口を開いた。

「で、どうなのグリセン」
「呼び捨て、タメ口、君は最悪ですね。窺う表情と台詞が、全く合っていません」
「黙っててよ。オレがグリセンと喋ってるんじゃん」

 テーブルを挟んで睨み合い、ラビとユリシスの言い合いが始まった。二人の陰険な空気に気圧されて、またしてもグリセンは意識を飛ばした。

 半ば説教へと移行したユリシスの挑発に乗ったラビが、カチンときてテーブルに手をつき、腰を上げて「白黒つけるか」と彼の顔を覗きこむように睨み付けた。

 すると、何故かじっと、穴が空くほど無言で見つめられてしまった。ラビは鋭い瞳で探られているような気がして、戸惑いつつ僅かに顔を引いた。

 露骨だったかと気付いたユリシスは、強い眼差しを解くと「横暴な方ですね」と、いつもの見下す顔に戻して言葉を続けた。