僕らは、現実から切り取られたようなコスモスの世界に目を奪われた。そこに溢れ返る花の香りだったり、暑さが少し和らいだ風の匂いだったり、そんな空気に包まれた場所がとても好きになったのだ。
ありきたりの『好き』だけを口にするのは容易い。けれど、その理由についての詳細をきちんと述べるのはとても難しい。
僕らが知っている言葉は限られていて、その感覚の全てを伝える術を、僕は持っていなかった。それでも、きっと皆と一緒に行くからこそ、コスモスの風景は美しいのだろうと答えられる。たとえ、もう四人で過ごす事は永遠にないと知っていても――。
つまり僕らは、あの暖かな時間が忘れられずにもいた。
◆◆◆
家に帰った時の「ただいま」を忘れた事はない。
何気ない日常で、当たり前のようにある「いってきます」も「いただきます」も「ごちそうさま」も、それでいて大切な言葉の一つなのだと僕は知っていた。
ありきたりの『好き』だけを口にするのは容易い。けれど、その理由についての詳細をきちんと述べるのはとても難しい。
僕らが知っている言葉は限られていて、その感覚の全てを伝える術を、僕は持っていなかった。それでも、きっと皆と一緒に行くからこそ、コスモスの風景は美しいのだろうと答えられる。たとえ、もう四人で過ごす事は永遠にないと知っていても――。
つまり僕らは、あの暖かな時間が忘れられずにもいた。
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家に帰った時の「ただいま」を忘れた事はない。
何気ない日常で、当たり前のようにある「いってきます」も「いただきます」も「ごちそうさま」も、それでいて大切な言葉の一つなのだと僕は知っていた。


