ふっと気付いて顔を上げると、すぐそばには安樂が立っていた。彼はどこか感心したように、僕が作業を続けているフライパンの中を覗き込んでいる。
「邪魔だ。あっちに行ってろよ」
話し合いは済んだのかという目で僕が睨みつけると、安樂は「だってさ」と情けない声で言って、弱った様子の目を僕の手元に落とした。
「ユミちゃんが、料理も出来るし家事もばっちりだし、もうお前と結婚すればって言うんだもん……。お前なら夜もいけそうだけど、でも美人顔とはいえ同じ男だし、やっぱりちょっと無理があるというか。その同棲生活には自信がないっていうか」
「何が『美人』だ、ぶっ飛ばすぞ」
「うん、ごめん。だからフライパンをこっちに向けようとしないで」
ぐすっ、と安樂が鼻をすする。そのしょんぼりとした目は、よくよく見れば少し泣いたであろう痕跡も見られた。一体僕が目を離していた僅かの間に、どんなダメージが与えらてそう至ったのか大変気になるところである。
「邪魔だ。あっちに行ってろよ」
話し合いは済んだのかという目で僕が睨みつけると、安樂は「だってさ」と情けない声で言って、弱った様子の目を僕の手元に落とした。
「ユミちゃんが、料理も出来るし家事もばっちりだし、もうお前と結婚すればって言うんだもん……。お前なら夜もいけそうだけど、でも美人顔とはいえ同じ男だし、やっぱりちょっと無理があるというか。その同棲生活には自信がないっていうか」
「何が『美人』だ、ぶっ飛ばすぞ」
「うん、ごめん。だからフライパンをこっちに向けようとしないで」
ぐすっ、と安樂が鼻をすする。そのしょんぼりとした目は、よくよく見れば少し泣いたであろう痕跡も見られた。一体僕が目を離していた僅かの間に、どんなダメージが与えらてそう至ったのか大変気になるところである。


