だから、時間に追われる事なくシーツを洗濯して、ゆっくりと服を干し、珈琲を飲みながら読書の出来る日曜日は貴重だった。疲れ果てた心身を回復する、絶好の機会なのである。

 帰宅後、缶ビールを飲みながら、休日前くらいにしか出来ない夜更かしの読書に耽った。ふと、明日は気分転換に海浜公園へ散歩に出かける予定を思い立って、一人にやにやとして早々に床についた――はずだった。

 一体何がどうなって、こうなってしまったのか。

 待ち焦がれていた日曜日、僕はパスタを茹でながら慎重に考えていた。

 鍋の中で湯の上に浮かぶオリーブオイルの粒が、秋へと移り変わる日差しの中キラキラと光っている。見慣れないマンションのキッチンは広く、カウンターの向こうに置かれた質の良い四人用の食卓には、安樂とユキミさんが腰かけている姿があった。

 僕らより二つ年下のユミさんは、三十三歳とは思えないほど若い容姿をしている。街灯のアンケートで「二十六です」とサバを読んでも気付かれないくらいだから、誰の目にもそう見えるだろう。