すっかり聞いていなかったが、僕は神妙な顔をしてビールを口にした。顔を赤らめた五十代のサラリーマンが二人入店してきて、店主に「いつものやつと、ビールを二つ頼むよ~」と呂律の回らない声を喜々として上げるのが聞こえた。
その二人の客は、足取りもおぼつかず座席へと座り込んだ。彼らはすぐに出て来たウィンナーのつまみに手を伸ばして、それを口に運ぶ。どちらも管理職の人間らしい話をしていて、厚ぼったい二人の男の口元でウィンナーの肉汁が弾けていた。
カウンターの中に戻った店主が、手際良く料理に取り掛かりながら、ふと安樂を見た。
「こういう時は、素直に謝ればいいんだよ」
「謝りましたよぉッ、なんべんも!」
そう安樂が間髪入れずに言った途端、わっと両手を顔に押し当てて再び泣き出した。競馬とゴルフの話から、株へと話題が移行していた三人の客が彼の方を覗き見て、そのうちの上座にいた一人が、唾を飛ばすほどに熱をこめてこう言った。
その二人の客は、足取りもおぼつかず座席へと座り込んだ。彼らはすぐに出て来たウィンナーのつまみに手を伸ばして、それを口に運ぶ。どちらも管理職の人間らしい話をしていて、厚ぼったい二人の男の口元でウィンナーの肉汁が弾けていた。
カウンターの中に戻った店主が、手際良く料理に取り掛かりながら、ふと安樂を見た。
「こういう時は、素直に謝ればいいんだよ」
「謝りましたよぉッ、なんべんも!」
そう安樂が間髪入れずに言った途端、わっと両手を顔に押し当てて再び泣き出した。競馬とゴルフの話から、株へと話題が移行していた三人の客が彼の方を覗き見て、そのうちの上座にいた一人が、唾を飛ばすほどに熱をこめてこう言った。