尊藤敬人と出会ったのは幼稚園の年長にあがってからだった。ほかの幼稚園から入ってくる人がいたのだ。幼い私に事情の把握はできなかった。ただ一緒に過ごす人が増えたということが五感で感じられた。
敬人はとても大人しい男の子だった。なんだかかわいらしい、とすぐに思った。泣いているわけでもないのに目が潤んでいるようだった。それがとてもかわいらしく思えた。
彼はいつも教室の隅にいた。よく先生がそばにいた。お友達と遊びましょ、とでもいわれていたのだろう。私はここぞとばかりに彼に近づいた。
「お名前は?」と尋ねると、彼は先生の横であわあわした。「けいと、って」と、先生が彼に優しくいった。先生に訊いてるんじゃないんだけど、と少し嫌な気分になったのを憶えている。
彼はやがて小さく「けいと」と答えた。
「わたし、たくみ」というと、彼は「うん」と小さく頷いた。
なんとなく先生が張りついているのが嫌だったので「一緒に遊ぼ」と誘った。もじもじあわあわしている彼に、「お絵かきしようよ」と提案すると、彼はまた小さく頷いた。
敬人はとても大人しい男の子だった。なんだかかわいらしい、とすぐに思った。泣いているわけでもないのに目が潤んでいるようだった。それがとてもかわいらしく思えた。
彼はいつも教室の隅にいた。よく先生がそばにいた。お友達と遊びましょ、とでもいわれていたのだろう。私はここぞとばかりに彼に近づいた。
「お名前は?」と尋ねると、彼は先生の横であわあわした。「けいと、って」と、先生が彼に優しくいった。先生に訊いてるんじゃないんだけど、と少し嫌な気分になったのを憶えている。
彼はやがて小さく「けいと」と答えた。
「わたし、たくみ」というと、彼は「うん」と小さく頷いた。
なんとなく先生が張りついているのが嫌だったので「一緒に遊ぼ」と誘った。もじもじあわあわしている彼に、「お絵かきしようよ」と提案すると、彼はまた小さく頷いた。