「やばい組織だったら、捜し出されて殺される可能性があるって言いたいんでしょ? 俺もこの道に入って長いですし、さすがにまずいと思ったら、即相談か報告くらいしてますよ。何しろ、調べ出した時点で既に、こっちの場所が向こうに探知されてますし」

 あっさり白状した内田に、男たちが揃って「はぁ!?」と目を剥いた。それを横目に、内田は「まぁ聞いてください」と話しを続ける。

「だけど、誰かを寄越されたり危険な妨害行動にあったりという、俺が構えていたような事態は何一つ起こっていないんです。そのうえ、こっちの動きを妨害するような行動にも一切出てきていないんで、今のところ敵だとも断言できないっつうか」

 というか、と内田は忌々しげに舌打ちした。

「俺のパソコンの中身を覗きこんで、何度も侵入されていることが気にくわねぇ。痕跡も残さないくせに、わざわざトップ画面に置き手紙ときてやがる」

 それを見せるために仕事机にパソコンを戻したらしいと気付いて、毅梨たちが揃ってそこを覗きこむ。

 内田は、彼らに見えるように少し椅子を後ろへとずらした。

「恐らくですが、こりゃあ随分と大きな組織みたいっす。様子を見るために、わざと野放しにされてるみたいな感じなんすよ。だから、金島さんが一体何に関わっているのか、めちゃくちゃ気になるところっすね。――つか、俺のデータから情報をばんばんを引き出してるのとかも、マジむかつくわ」

 毅梨と三人の捜査員は、ノートパソコンのトップ画面中央に、剣に交差する拳銃のロゴマークが張り付けられている事に気付いた。それを縁取る装飾は、警察機関のマークに入っているものと似ているが、背景の日の丸には、国防総省で見かけるような鷹の絵がある。

「……ペンタゴンかと思ったぜ」

 捜査員の一人がそう述べて、隣にいた別の男が「んな訳ないだろ」と間髪入れず指摘し、毅梨たちが熟考するように慎重な顔付きで揃って黙りこんだ。

 対する内田は不服そうな表情で、唇を一文字に引き結んだ。