そう思ってチラリと目を向けようとしたヨリは、不意に隣から、拓実に手で髪をわしゃわしゃとされて困った。続いて後部座席から、茉莉も同じく両手で触ってくる。
「うわっ、髪さらっさら! ヨリさん、女の私より綺麗な髪ですよ」
「……あのね、君達」
「ヨリさんっ、前髪に癖作っても全然イケる! 俺、整髪剤持ってるから、あとでセットしてみてもいいですか?」
頭を挟んで、有澤姉妹が元気よく色々と言ってくる。しばし触られ放題で聞いていたヨリは、とうとう小さく息をもらして「好きにしていいよ」とだけ答えた。
車内は賑やかだった。表情を動かさないでいる暇が少ないほどで、休日を一人で過ごしている佐藤から、拓実とヨリ宛てに悪戯メールが届くと一層騒がしくなった。
青空の下を、レンタカーは彼らの実家へと向けて走る。
ヨリは、気付いた時には三人揃って笑っていた。来週辺りにでも、自分から母に連絡を取ってみようかと、ふとそんな事を考えたりした。
「うわっ、髪さらっさら! ヨリさん、女の私より綺麗な髪ですよ」
「……あのね、君達」
「ヨリさんっ、前髪に癖作っても全然イケる! 俺、整髪剤持ってるから、あとでセットしてみてもいいですか?」
頭を挟んで、有澤姉妹が元気よく色々と言ってくる。しばし触られ放題で聞いていたヨリは、とうとう小さく息をもらして「好きにしていいよ」とだけ答えた。
車内は賑やかだった。表情を動かさないでいる暇が少ないほどで、休日を一人で過ごしている佐藤から、拓実とヨリ宛てに悪戯メールが届くと一層騒がしくなった。
青空の下を、レンタカーは彼らの実家へと向けて走る。
ヨリは、気付いた時には三人揃って笑っていた。来週辺りにでも、自分から母に連絡を取ってみようかと、ふとそんな事を考えたりした。