今日、目覚めたのは、予定の起床時刻から三十分後だ。

『遅れるごめんッ』

 起床直後、待ち合わせの相手には即、詫びのメールを送っていた。佐藤絡みであると一言添えただけで、相手は全て理解したように同情的な労いのメールを返してくれた。

 目的の場所が見えてきたヨリは、そこに待ち合わせ相手がいるのに気付いて、途端に申し訳なが込み上げて走り出した。

 オープンして二十分を過ぎたレンタカーショップの前にいたのは、カジュアル姿をした拓実だった。彼はヨリに目を留めると、手を振って応えた。

「おはよう。遅れてすまない」
「大丈夫ですよ。うちの姉も寝坊したみたいなんで、お互い様です」
「でも、君も昨日は飲み会だったんだろう? しっかりと待ち合わせ時間まで守ってくれているのに」

 ヨリは、そこで溜息をもらした。

「……若さの違いかな」
「ヨリさんも、めちゃくちゃ若いじゃないですか」
「君よりは、肉体的に六歳は老化しているよ」
「いやいやいや、佐藤さん絡みじゃしょうがないですよ。俺、ヨリさんと初めて顔を合わせた翌日の帰り道にも捕まって、全然知らない人達の模合にゲスト参加させられて大変でした」
「ああ、僕も経験があるな。あれは大変だった」

 互いに顔を見合わせて、苦労を知る仲同士の苦笑を浮かべた。

 ヨリは手紙を読んだ翌日に、拓実と連絡を取っていた。今回の提案者は姉の茉莉で、ヨリもそれを希望して三人で決めて、本日の土曜日に予定を組んだ。