「男の身体も、意外と面倒なのね。分かったわ。男性である貴方がその気にならないと、私の望みも達成出来ないのなら、まずはあなたの要望通りお喋りでもしましょう」

 ふぅ、と吐息をもらして足を組む。

「意外と初心な男だったのね」

 湖を眺めやった彼女が、つまらなそうに呟いた。

「御覧の通りですよ、期待を裏切ってしまってみたいで、すみませんね」

 私は、ひそかな仕返しで、嫌味たっぷりにそう言い返した。

 それから私達は、今後について話し合った。彼女が話しをする条件に提示してきたのは、いつでも行為に及べるような場所でする事だった。

 私は色々と言いたい事が起こったが、その間に気も変わるだろうと考え、仕方なく彼女に、私が暮らしている部屋の場所を教えてやった。

「交渉は、平等で公正なものにすべきよね」
「また、いきなりだな。今度は何か……?」

 きっちり地図まで書かされてしまった私は、疲れ切って腰を上げたところでそう言われて、余力もないまま警戒を浮かべた。

「私は、話す場所としてあなたに条件を一つ出したわ。だから、一つだけあたなの条件を聞いてあげる。考えておいてちょうだい」

 利口な彼女は、そう言って去っていった。