私は、幼少より勉学に生き甲斐を感じていた。小言も言われず、ゆっくり己と向き合い勉強が出来る、四畳間の狭いアパートでの暮らしは充実していた。

 働きながら、というのは難しい事も多くあった。しかし、学ぶ事が何よりも好きだった。高校の卒業も、そして大学への進学も当時の私には諦め難かったのだ。

 学業に励む中で出会った恩師達は、私にとってどれも素晴らしい先生であり、人生の師だった。生活費と学費を稼ぎながら学校へと通い、私は素晴らしい友人達にも出会えた。そうして切磋琢磨で私達は勉学に励み、大学院を卒業した後、私は教師となったのである。

 毎日が新鮮で、教え、共に学べる喜びが胸に溢れていた。生徒達が可愛くて、まるで多くの妹か弟が出来たかのような慌ただしい日々に私は満足していた。

 大学講師の中で、当時新任だった私は変わり者だとよく嗤われた。整えない髪や、皺の入ったシャツ。くたびれたスーツやコートは、大学構内ではすっかり私のトレードマークになっていた。

 私は学び、教える事に満足していた。これまで自分の身なりを気にした事はなく、服を新調するよりも、活字を読むための大事な眼鏡や、本を購入したりした。

 私が当時暮らしていたのは、立派な大学が集中しているその土地だった。私の通勤路は、生徒達もよく利用するのだが、住み始めてから二年。隣の大学に通うとある女子大生の噂が、こちらの大学まで流れてくるようになった。