授業が本格的に始まってしばらくたった。
生徒の中にはチラチラと半袖の制服に袖を通す人も現れてきて、日焼け止めやら日傘なんかを持ってき始める人もいた。
皆の制服や季節の変わり目の今、毎日変わらないことが1つある。

朝、登校して
1つだけ明らかに汚い机を素通りして席に着く。
白井が教室に入ってくる。
後ろから蹴飛ばされて白井が視界からいなくなる。
昼、
白井の弁当がひっくり返されて、それを食べろと言われる。
白井の頭にどっから持ってきたも分からない得体の知れない液体(多分飼育水槽の水だろう)がぶっかけられる。
白井はそのまま授業を受ける。
なぜなら変えの体操服がズタズタだから。
異臭がするからと罵声を浴びる。
夕方、
ヤンキーじみた人達に連れられどこかへ消えていく白井を背に下校する。

何も変わらない。内容は多少変わっても
毎日毎日1、2軍群の奴らによって繰り広げられる公開処刑を目の前にしてしまえばどんなに高級なフレンチだって不味く感じるだろう。
もうすぐ中間テストだがどうせ白井の数字は変わらない。
だから白井が勉強しているのを見たことがない。
テスト3週間前にもなれば学校の自習室や図書館で鬼の形相で勉強する人がほとんどだ。僕だってそうだし田中だってあんまり勉強しないと言っても多分ほかの高校の奴らよりかは遥かに勉強時間は長いだろう。
このスクールポイントは学力の割合が6、7割を締めている。
だからテストでコケるとポイントが一気にだだ下がる。
そんな状況でも白井は勉強をしなかった。