そして翌日、白井の宣言通り学校は大パニックを起こしていた。
それもそうだろう。だって、白井の頭の上には

「100」

るあさんを上回る最高評価。
100なんて数字、今まで見たことがなかった。
ちょっと極端すぎるのではないだろうかとも思ったけど、
これが白井の本来の実力であり、復讐計画の舞台を整える、最初の一手。
白井の周りにはつい昨日まで白井をふみつけにして見下していた人たちがこぞって囲い、「ずっとかわいいと思ってたんだよね」「肌きれいだよね」「私は白井さんはこの数字なんじゃないかと思ってたんだよね」と吐き気を催しそうな気持の悪いセリフでおおっていた。白井本人はその言葉たちに満足げに今まで見せたこともないような笑顔で答えていた。
「桜来!!」
その空間に割って入るあの甲高い声が教室中に響き渡る。
「どういうつもり?!なんで、なんであんたが100なの?!大事な選挙前に余計なことしないでくれる!!」
すごい剣幕で白井に詰め寄るるあさんを残酷な程の冷たい視線で睨みつけている。
「何が余計なことよ。自分が1番よくわかってるくせに」
クラスや周りの囲い達が「どういうこと?」「何をわかってるの?」とざわつき始めている。
「まさか、会長に立候補するんじゃないでしょうね」
「そのまさかよ。私は生徒会長に立候補する」
その宣言は今までザワついていた奴らに一層のどよめきと衝撃を与えた。
あまりにも急展開すぎる。
白井はずっとポイントが自身にそぐわないもので。
ずっと復讐計画を企てていて。
それのタイミングが急に早まって。
生徒会選挙目前にして白井が立候補すると言い出した。
この切りに切られたハンドルに僕らは全く順応出来ないでいる。
とりあえず白井はどうやって変えたかは全く分からないが100という最高ポイントをバックに、生徒会長を決める舞台へと、復讐の舞台へと上がっていくらしい。

その日からだった。
るあさんが死に物狂いで何かに洗脳されたかのように「私に入れろ」「私を生徒会長にしろ」とまくし立て始めたのは。
皆がるあさんを恐れた。
みんなの憧れるあさんはいつしか、皆が恐れるモンスターと化して信頼と尊敬の念を食い散らかしていった。
そんな実の妹を白井は囲いの皆と哀れんで同情していた。

選挙は明日だ。