~第8話~
▷今日、放課後に田中君とこないだの喫茶店来て。
白井からそう連絡がきたのは先生のびっくり発言から3日後。生徒会選挙まで残り4日となった日のことだった。
田中にもトーク画面を見せ、了承を得る。
「で、どうしたの?」
こないだと同じ席に白井が僕と田中と向き合う形で座っている。
話題を切り出したのは僕だった。
田中はいまいち状況が把握できていなくて不安そうに僕と白井を交互にチラチラ見ている。それに気が付いたのか白井が僕と全く同じ説明を田中にもしてようやく本題スタート。
「多分、明日、学校が大パニックに陥る」
「それはどうして?」
「私のポイントが動く」
「白井の?ポイントが?」
「でも計画実行は選挙日当日なんじゃ…」
「その当日の為に明日から舞台を整える」
「舞台?」
「そう。私はこのためだけに今までどんな不条理にも耐え抜いてきた」
「でもなんでそれを今日僕たちに?」
「うん。俺なんて計画の話初めてしったし」
「それは…」
白井がそこで初めて言葉を濁す素振りを見せた。
「それは?」と2人でその続きを促すけど白井はそらした視線を戻してくれない。
沈黙の中に振り子時計の音だけが響く。
沈黙に先に耐えられなくなったのは白井のほう。
「あなたたちなら言ってもいいかなと思ったから。ずっと、この学校の皆があなたたちみたいな関係になってくれたらいいのにって思ってた。ポイント関係なしにお互いを助け合えるなんて素敵だと思う」
抑揚のない淡々とした言葉だけど、いつもの刺されるような言葉じゃなくて、初めて白井の本当の気持ちを聞けたような気がする。
でも言い切った当の本人は赤面して、慣れないことを言ったと言わんばかりの表情でカフェラテを雑に体内に流し込んだ。
「俺もそう思う。皆変わってくれるといいな」
「うん。詳しく何をするかはわからないけどうまくいくことを願ってるよ」
そうやって僕たちも柔らかい言葉をかけるもんだからいよいよ恥ずかしさが沸点に達した白井は「帰る!」と言って帰ってしまった。
「白井ってめっちゃツンデレなんだな」
「白井が?」
「うん。お前の話を聞くにどんな冷酷な人なんだと思ったけど、今みたいに可愛いところもあるじゃん」
「僕はじめてしゃべった時ぼろくそに言われたけど。それにまだ名前呼ばれたことないし。田中はちゃんと名前で呼ばれるのに」
「それが白井のツンなんじゃね?」
そうなのか~と思いつつ白井の言っていたことを思い出す。
「白井のポイントが動くってどういう意味なんだろうな」
「なんか裏でとんでもなことが起こってたりしてな」
そんな会話をしながらレジへ向かう。
「すみませーん。お会計お願いします」
「お会計はさっきの方が3人分お支払いになられましたよ」
また、ごちそうになってしまった。
▷今日、放課後に田中君とこないだの喫茶店来て。
白井からそう連絡がきたのは先生のびっくり発言から3日後。生徒会選挙まで残り4日となった日のことだった。
田中にもトーク画面を見せ、了承を得る。
「で、どうしたの?」
こないだと同じ席に白井が僕と田中と向き合う形で座っている。
話題を切り出したのは僕だった。
田中はいまいち状況が把握できていなくて不安そうに僕と白井を交互にチラチラ見ている。それに気が付いたのか白井が僕と全く同じ説明を田中にもしてようやく本題スタート。
「多分、明日、学校が大パニックに陥る」
「それはどうして?」
「私のポイントが動く」
「白井の?ポイントが?」
「でも計画実行は選挙日当日なんじゃ…」
「その当日の為に明日から舞台を整える」
「舞台?」
「そう。私はこのためだけに今までどんな不条理にも耐え抜いてきた」
「でもなんでそれを今日僕たちに?」
「うん。俺なんて計画の話初めてしったし」
「それは…」
白井がそこで初めて言葉を濁す素振りを見せた。
「それは?」と2人でその続きを促すけど白井はそらした視線を戻してくれない。
沈黙の中に振り子時計の音だけが響く。
沈黙に先に耐えられなくなったのは白井のほう。
「あなたたちなら言ってもいいかなと思ったから。ずっと、この学校の皆があなたたちみたいな関係になってくれたらいいのにって思ってた。ポイント関係なしにお互いを助け合えるなんて素敵だと思う」
抑揚のない淡々とした言葉だけど、いつもの刺されるような言葉じゃなくて、初めて白井の本当の気持ちを聞けたような気がする。
でも言い切った当の本人は赤面して、慣れないことを言ったと言わんばかりの表情でカフェラテを雑に体内に流し込んだ。
「俺もそう思う。皆変わってくれるといいな」
「うん。詳しく何をするかはわからないけどうまくいくことを願ってるよ」
そうやって僕たちも柔らかい言葉をかけるもんだからいよいよ恥ずかしさが沸点に達した白井は「帰る!」と言って帰ってしまった。
「白井ってめっちゃツンデレなんだな」
「白井が?」
「うん。お前の話を聞くにどんな冷酷な人なんだと思ったけど、今みたいに可愛いところもあるじゃん」
「僕はじめてしゃべった時ぼろくそに言われたけど。それにまだ名前呼ばれたことないし。田中はちゃんと名前で呼ばれるのに」
「それが白井のツンなんじゃね?」
そうなのか~と思いつつ白井の言っていたことを思い出す。
「白井のポイントが動くってどういう意味なんだろうな」
「なんか裏でとんでもなことが起こってたりしてな」
そんな会話をしながらレジへ向かう。
「すみませーん。お会計お願いします」
「お会計はさっきの方が3人分お支払いになられましたよ」
また、ごちそうになってしまった。