「友達ってさ」
カフェラテにまだ口をつけていない白井が話しかけてきた。
「そんなに大事?」
いわゆる''純粋な疑問''
「私は友達なんていらないと思う。面倒臭いし、どうせ裏切られる。あなたみたいにそうやって悩む時間がもったいないと思うんだけど」
「友達、いたことないの?」
「無い」
「小学生の時とかも?」
「小学生の時は私立に通ってたから皆ライバルで友達なんて作ってる暇なかった。お母さんにもそんなもの作ってる暇があるなら勉強しなさいって言われてたし。私はるあに絶対負けちゃいけなかったからずっと勉強して、ずっと本読んでた」
習い事も沢山してたしと付け加える。
「うーん。難しいけど、別に無理に友達を作る必要はなくて1人が好きなら1人でいいと思う。でもそんな中でせっかく出来た大切な繋がりだから。課題助け合えたりテスト協力しあえたり、息抜きで全力で遊んだり愚痴をこぼしたり、たまに喧嘩したり。そういうのって…なんだろ。かけがえのないものっていうか、僕の中で大切にしたいものなんだ」
白井の目線がスーッと僕から逸らされて
その先で瞳が揺れている。
なんか不味ったか?なんか変なこと言った?
どうしようどうしよう。
「なんでこの高校来たの?」
とっさに出た言葉はこれ。
「それは秘密。計画に関係してるから。あなたは?」
良かった。普通だったと安心すると同時に僕だけ答えるのは腑に落ちないなと思いつつ
「お金だよ」
分かりやすく短略的に教えてやる。
うちの高校は実験に参加してくれるならと入学金その他諸々のお金がほぼ免除だ。
入試はちょっと難しかったけどその免除という甘い言葉に誘われて入ったら最後。まさかあんな実験の対象になるなんて思いもしなかった。
また「ふーん」とだけ返されて静かになってしまった。
ここで初めて白井がカフェラテに口を付けた。
「おいしい?」
「うん」
その時、僕のスマホが震えた。
白井と目が合い目線でスマホを見ろと言わたので、恐る恐るスマホをひっくり返す。
その瞬間心臓が跳ね上がった。
さっきまで体に流し込んでいたコーヒーが出てきそうになる感覚。
そこには「田中」の文字が。
震える指を何とか言うことを聞かせてタップする。
▷いいよ
「いいって!」
興奮して白井に画面を向けてしまった。
まだ心臓はバクバク言っていて耳の裏まで鼓動をかんじる。
ストローに口をつけながら急に近づけられた画面に少し嫌悪感のある顔をしたがすぐに
「良かったね」
と空のコップをコトンと置き、席を立った。
「私、帰る。ここ美味しかった。また付き合ってあげてもいいよ。田中くんとの事気になるし」
「え?あ、うん。ありがとう」
白井は伝票を持ってレジへ行き、
店員さんの「ありがとうございました〜」の声を最後にその背中は見えなくなった。
僕はと言うとさっき放たれた白井らしくない急な丸い言葉に頭の中が大混乱し固まってしまっていた。
「あ、お金」
自分に言い聞かせレジへ向かうと
「さっきの方が全額払われましたよ」
店員さんはニコニコしながらそう言った。
カフェラテにまだ口をつけていない白井が話しかけてきた。
「そんなに大事?」
いわゆる''純粋な疑問''
「私は友達なんていらないと思う。面倒臭いし、どうせ裏切られる。あなたみたいにそうやって悩む時間がもったいないと思うんだけど」
「友達、いたことないの?」
「無い」
「小学生の時とかも?」
「小学生の時は私立に通ってたから皆ライバルで友達なんて作ってる暇なかった。お母さんにもそんなもの作ってる暇があるなら勉強しなさいって言われてたし。私はるあに絶対負けちゃいけなかったからずっと勉強して、ずっと本読んでた」
習い事も沢山してたしと付け加える。
「うーん。難しいけど、別に無理に友達を作る必要はなくて1人が好きなら1人でいいと思う。でもそんな中でせっかく出来た大切な繋がりだから。課題助け合えたりテスト協力しあえたり、息抜きで全力で遊んだり愚痴をこぼしたり、たまに喧嘩したり。そういうのって…なんだろ。かけがえのないものっていうか、僕の中で大切にしたいものなんだ」
白井の目線がスーッと僕から逸らされて
その先で瞳が揺れている。
なんか不味ったか?なんか変なこと言った?
どうしようどうしよう。
「なんでこの高校来たの?」
とっさに出た言葉はこれ。
「それは秘密。計画に関係してるから。あなたは?」
良かった。普通だったと安心すると同時に僕だけ答えるのは腑に落ちないなと思いつつ
「お金だよ」
分かりやすく短略的に教えてやる。
うちの高校は実験に参加してくれるならと入学金その他諸々のお金がほぼ免除だ。
入試はちょっと難しかったけどその免除という甘い言葉に誘われて入ったら最後。まさかあんな実験の対象になるなんて思いもしなかった。
また「ふーん」とだけ返されて静かになってしまった。
ここで初めて白井がカフェラテに口を付けた。
「おいしい?」
「うん」
その時、僕のスマホが震えた。
白井と目が合い目線でスマホを見ろと言わたので、恐る恐るスマホをひっくり返す。
その瞬間心臓が跳ね上がった。
さっきまで体に流し込んでいたコーヒーが出てきそうになる感覚。
そこには「田中」の文字が。
震える指を何とか言うことを聞かせてタップする。
▷いいよ
「いいって!」
興奮して白井に画面を向けてしまった。
まだ心臓はバクバク言っていて耳の裏まで鼓動をかんじる。
ストローに口をつけながら急に近づけられた画面に少し嫌悪感のある顔をしたがすぐに
「良かったね」
と空のコップをコトンと置き、席を立った。
「私、帰る。ここ美味しかった。また付き合ってあげてもいいよ。田中くんとの事気になるし」
「え?あ、うん。ありがとう」
白井は伝票を持ってレジへ行き、
店員さんの「ありがとうございました〜」の声を最後にその背中は見えなくなった。
僕はと言うとさっき放たれた白井らしくない急な丸い言葉に頭の中が大混乱し固まってしまっていた。
「あ、お金」
自分に言い聞かせレジへ向かうと
「さっきの方が全額払われましたよ」
店員さんはニコニコしながらそう言った。